旬報社WEBセミナー「メンタル疾患(精神障害)の労災手続・労災申請をめぐる最新論点と相談対応・訴訟実務のポイント」第1回「基礎編」リポート!
弊社刊行の嶋﨑量『最新テーマ別[実践]労働法実務13労災におけるメンタル疾患の法律実務』のWebセミナーは、9月10日(木)17時に第1回を終えました。
第1回は基礎編として、「労災の相談が来ました~労基署任せにしてしまっていませんか?~」「労災申請に向けた準備」「労災申請及び申請後にやっていくこと」「損害賠償請求」などについて裁判例などもふまえながら解説していただきました。
職場におけるハラスメントや長時間労働を原因とするメンタル疾患(精神障害)に関する労働相談は、近年ますます増加しています。しかし、被災者の救済にあたっては、安易に損害賠償請求や地位確認請求を選択するのではなく、本人の病状や生活状況に配慮した「労災申請」を第一目標に据えた戦略的な対応が求められます。
本セミナーでは、ハラスメントや長時間労働による精神疾患事案を専門的に扱う笠置裕亮弁護士(横浜法律事務所)が登壇し、相談対応の初動から労災申請手続、さらには使用者に対する損害賠償請求に至るまでの実務上の要点を解説されました。
セミナーの冒頭では、相談対応時の初動方針の組み立てについて解説されました。
損害賠償請求や地位確認請求に伴う費用倒れや長期化のリスクを整理した上で、労災申請を最優先すべきケースの見極め方を示します。さらに、ICD-10/11診断基準を踏まえて弁護士側で発病時期のめどをつける重要性や、相談者が語る直前の出来事だけでなく過去のハラスメントや長時間労働といった「隠れた負荷要因」をくまなく聞き取る手法について解説をされています。
また、労災申請に向けた立証準備と証拠収集の実務について、家族や身近な関係者の陳述書作成を通じて病状の経過や変化を客観的に立証するノウハウを紹介するほか、会社側の勤怠記録にとどまらず、スマホのGPS履歴、LINE等の通信記録、交通系ICカードの利用履歴といった電子データを保全・活用する具体的なポイントを提示されています。
さらに、労働基準監督署への意見書提出や調査進行状況の把握方法、不支給決定時における審査請求の進め方など、行政手続における実践的な対応策についても論じています。 最後には、使用者の安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求について詳しく解説されています。電通事件最高判決をはじめとする重要判例や最新の裁判例を踏まえ、安全配慮義務、予見可能性、因果関係の主張の組み立て方を整理されています。あわせて、使用者側から主張されることが多い「療養期間の限界論(2年説)」や「素因減額・過失相殺」への反論のポイントを説き、単なる金銭解決にとどまらない謝罪や再発防止策を盛り込んだ和解条項の作成実務まで網羅した内容となっています。
【講師紹介】笠置 裕亮(かさぎ ゆうすけ)弁護士(横浜法律事務所)
東京大学法学部・同大学院法科大学院卒業。日本労働弁護団常任幹事、過労死弁護団全国連絡会議事務局。労働者側専門としてハラスメントや長時間労働による精神疾患事案を多数手掛ける。共著に『労災におけるメンタル疾患の法律実務』(旬報社)など。